肺に転移したがん

肺に転移したがん

すべての血液は肺を通過する

乳がん、大腸がん、胃がん、肝臓がん、子宮がんなどほとんどのがんは、進行すると肺に転移します。

 

肺は、呼吸によって取り入れた、酸素と血液中の二酸化炭素を交換しています。

 

この作業のために肺には、無数の毛細血管が張り巡らされています。

 

体中を巡ってきた血液は、必ず肺を通過します。

 

そのためがんは、肺に転移しやすいのです。

 

人間が生きるうえで極めて、重要な役割を持つ肺にがんが転移すると、次第に呼吸困難などの症状が現われ、生活の質(QOL)も大きく低下していきます。

 

がんがさらに進行すると、生命が危険にさらされるようになります。

 

しかし、呼吸に不可欠な器官である肺は、大きく切除するなどの積極的な治療が難しい側面を持っています。

 

手術

患者さんが手術に耐えられる体力を持ち、また最初に発生したがん(原発がん、原発巣)の成長が止まっているときには、手術が検討されます。

 

呼吸に差し支えない大きさの肺を残す必要があるので、手術を行うことができるのは一般的に、がんが小さく数も少ない場合に限られます。

 

肺には、無数の血管が張り巡らされ、肺胞の中で酸素と二酸化炭素の交換を行なっています。

 

そのため、がんが肺に転移すると、呼吸困難が生じます。

 

最近では、内視鏡を使って、がんを摘出する胸腔鏡手術を行なう例が増えています。

 

体の側面に小さな穴を開け、そこから胸腔鏡や手術器具などを差し込みます。

 

患者さんへの負担はやや軽くなります。

 

化学療法(抗がん剤治療)

手術が困難なときや、肺以外にも転移があるときなどには、化学療法が中心となります。

 

抗がん剤は、原発がんに治療効果を持つものが使用されます。

 

通常は、全身化学療法ですが、肺の気管支動脈に直接、抗がん剤を注入する動注法(BAI)も試されることがあります。

 

化学療法の効果は、がん(原発がん)の種類や患者さんの状態によって異なります。

 

電磁波による焼灼法(しょうしゃくほう)

電極をがんに刺して熱を発生させることにより、がんを殺す方法です。

 

ラジオ波焼灼法とマイクロ波焼灼法があります。

 

肺の転移がんに対しては、ラジオ波焼灼法が先進医療に指定されています。

 

手術に耐えられない病状の患者さんでも、この治療を受けることができます。

 

肝臓に転移に対しては、積極的に行なわれる治療ですが、肺転移では治療施設も限られ、延命効果も十分に明らかになっていないため、この手法を受けた患者さんは、少数です。

 

熱ではなく、がんを凍らせて殺す「凍結治療」は、日本では普及していません

 

放射線療法

肺転移に対して、放射線治療が行われることはまれです。

 

肺に放射線を照射すると、肺の組織が硬化して、呼吸困難になる恐れがあります。

 

化学療法に治療効果が期待できないときや、がんによって呼吸が困難になったときには、放射線治療を行うこともあります。

 

対症治療法

肺の転移がんの積極的な治療が困難なときには、がんによる症状をやわらげる対症療法を行ない患者さんの生活の質(QOL)をできる限り高く保ちます。

 

がんによって気管支が塞がったときには、レーザーを照射してがんを焼いたり、管(ステント)を気管支に入れて、空気の通過を確保したりします。

 

気管支が完全に塞がって片方の肺がほとんど機能していない場合、残る肺や心臓の負担を軽くするため、あえて片肺を切除することもあります。

 

痰を吐きやすくする去痰薬(きょたんやく)、咳を抑える鎮咳薬(ちんがいやく)も必要に応じて使います。

 

鎮痛薬モルヒネは呼吸をゆっくりさせて、咳を抑える効果も持つため、利用されます。

 

がん細胞がリンパ管に浸潤して、リンパ管症を引き起こすと、リンパ液の循環が滞ってひどい咳や胸の痛みを感じることがあります。

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