外科治療(手術)の考え方
再発・転移巣に対する手術の目的に根治や延命を意図したものは少なく、多くは緩和、すなわちがんによる症状をやわらげることが目的です。
局所・領域再発がんは、取り残した目に見えないがんが大きくなったものです。
そのため、再度の手術で取り除くことにより、再び根治を得られることもあります。
手術の適応となるのは、乳がんや大腸がん等、基本的にゆっくりと成長するがんです。
これに対して、成長の速いがんの場合、局所再発を起こすと、多くのケースですでに手術で取り切れる範囲を超えていたり、遠隔(全身)再発を同じに生じたりします。
この場合には、再び局所を切除しても意味がありません。
例えば、乳がんに対する乳房温存療法の後に乳房内にがんが再発した場合には部分切除あるいは、乳房全体の摘出によって、再度根治が得られます。
直腸がんが局所再発した場合、直腸切除術(マイルスの手術=直腸と一緒に肛門を切除して人工肛門を作る)あるいは(後方)骨盤内内臓全摘術による再手術が成功すれば、再度の根治や延命効果が得られます。
多くの局所再発は、手術後2〜3年以内に生じます。
遠隔(全身)再発が生じたときには、多くの場合、がんはすでに全身に広がったことを意味しています。
遠隔再発した部分だけを取り除いても、また他の部分に再発するため、ほとんどの場合、切除する意味がありません。
例外として、がんの発育の遅い大腸がんの肝転移や肺転移、あるいは内腫の肺転移が挙げられます。
大腸がんが肝臓に転移し、転移巣び数が3個以内などの条件を満たした症例に対して、肝臓の切除を行なった場合には、30〜40%の5年生存率を期待することができます。
最近では、こうした症例に対して、積極的に切除する方向にあります。
卵巣がんやバーキットリンパ腫(悪性度の高い非ホジキンリンパ腫)などは、再発巣の減量手術(がんの体積を減らす手術)の適応となります。
卵巣がんの腹膜播種などに対しては、目に見える範囲のがん細胞をできるだけ切除・減量した後に抗がん治療を行なうことにより、延命効果を期待することができます。
しかし、他のほとんどのがんでは、がん細胞の数を減らしても、延命に結びつかないことも明らかになっています。
がんの進行によって致命的な合併症が起こるときには、緊急で姑息的な手術が必要となる場合があります。
がんにより気道が閉塞して息ができなくなる、腸閉塞を起こす。
がんからの出血が続くなどの場合は、切迫した死の危険を回避するために緊急手術が行なわれます。
また、生存の質を向上させるために、がんで食べ物が通過しなくなった場合に、ステントを置いて、食べ物が通過できるようにしたり、バイパス手術を行うことがあります。
痛みに対しては、手術によって神経をコントロールすることもあります。
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