高脂血症の治療が動脈硬化の予防
高脂血症の人は、糖尿病など動脈硬化のほかの危険因子も合わせ持っていることが多いので、その場合は総合的な治療が必要です。
30〜40代の肥満が進み、高コレステロール血症の割合が増加し、働き盛りの男性では、生活習慣の欧米化に加え、社会環境の悪化によるストレスが高脂肪食の摂り過ぎ、アルコールの飲み過ぎ、運動不足を助長して、高脂血症や肥満、糖尿病が増加しています。
中性脂肪を動脈硬化を助長する
高コレステロール血症が動脈硬化の危険因子です。
中性脂肪値が高い人は、動脈硬化の危険因子の糖尿病や肥満、高尿酸血症などにかかっている傾向がみられ、胆石症の人にも多く見られます。
しかし、高中性脂肪血症と動脈硬化の因果関係については、よくわかっていません。
高中性脂肪血症は、リポ蛋白にさまざまな質的な異常を起こすことで、動脈硬化の発生・進展に関連しています。
中性脂肪値が高い糖尿病の人は、中性脂肪を減らすことが動脈硬化の予防に有効です。
4種類の脂質とリポ蛋白
人間の血液の中に含まれている脂肪分と血清脂質といい、4つがあります。
- コレステロール
- 中性脂肪(トリグリセリド)
- リン脂質
- 脂肪酸
コレステロールと、水に溶けやすいリン脂質は、体細胞成分の要素です。
中性脂肪と脂肪酸はエネルギー源です。
コレステロールと中性脂肪は水に溶けない性質を持っていて、アポ蛋白と呼ばれる特殊な蛋白と結合し、水に馴染みやすい構造になる必要があります。
この血清脂質にアポ蛋白が結合したものをリポ蛋白と呼び、血液中に存在し、体のすみずみまで運ばれていきます。
脂質の働き
エネルギー源
トリグリセリド(中性脂肪)はエネルギー源として重要です。
特に貯蔵エネルギーとして重要な役割を持ち、摂取した脂質のうち余分な皮下や内臓の脂肪組織に貯えられ、必要に応じて分解されて血中へ放出され、利用されます。
また、脂肪組織には体熱放散を防いだり内臓を保護する等の作用もあります。
細胞膜の構成成分
リン脂質の分子は2層に並んで脂質二重層を形成し、細胞膜の主成分。
コレステロールや糖脂質もまた細胞膜中に含まれ、コレステロールは細胞膜に強度を与え、糖脂質は細胞膜の表面での膜の認識機構などに関与しています。
各種化合物の原料
コレステロールは細胞膜の成分として重要のほか、胆汁酸やステロイドホルモンの前駆物質となります。
物質の運搬
血液中の脂質は、たんぱく質と結合して水溶性のリポ蛋白を形成します。
リポ蛋白は比重の小さいものからキロミクロン(カイロミクロン)、超低密度(比重)リポ蛋白、低密度(比重)リポ蛋白(LDL)、高密度(比重)リポ蛋白(HDL)、超高密度(比重)リポ蛋白に分けられ、キロミクロンは脂質の肝臓への運搬、その他のリポ蛋白は肝臓とその他の臓器の間の脂質の運搬に働きます。
LDLはコレステロールを運搬する働きがあります。
血管壁に沈着して動脈硬化の原因となるコレステロールの大部分はLDLに由来する。
HDLはLDLとは逆に血管壁に沈着したコレステロールを除去する働きがあります。
脂質の糖代謝
トリグリセリド(中性脂肪)の分解
トリグリセリドは脂肪酸とグリセリンに分解されます。
グリセリンは解糖の代謝過程に入る。
一方、脂肪酸は酸化されて各器で利用されますが、そのときβ(ベータ)の位置にある炭酸原子の酸化が起こるので、β酸化といいます。
β酸化により、脂肪酸がアセチルCoAとなりクエン酸回路に入り完全に酸化され、CO2(二酸化炭素)とH2O(水)になります。
この過程でATP(エネルギー)が取り出され利用されます。
脂質はアセチルCoA(アセチルコエンザイムA)からクエン酸回路に入って酸化さて、糖質の代謝が盛んでクエン酸回路が良く回転しているときに、脂質の燃焼も盛んです。
クエン酸回路の回転が不十分ですと、アセチルCoAからアセト酢酸を生じさらにアセトンやβヒドロキシ酪酸を形成します。
これらをケント体、アセトン体といい、酸性度が強く、アシドーシスの原因になります。
アシドーシス(acidosis)
血液中の酸と塩基との平衡が乱れ、酸性側に傾いた状態。
腎不全、糖尿病が原因で重炭酸(アルカリ)が失われたときなどに見られます。
脂肪酸の合成
糖質やアミノ酸が過剰に存在する場合に、肝臓や脂肪組織でアセチルCoAから脂肪酸が合成されます。
コレステロール代謝
コレステロール自体にエネルギー源とはなりませんが、細胞膜の成分で、体細胞の構成要素として重要な物質。また、胆汁酸やステロイドホルモンの原料。
コレステロールは食物から摂取しますが、その何倍もの量が主に肝臓でアセチルCoAから合成されます。
コレステロールと動脈硬化
コレステロールの血中濃度が高い状態が続くと、動脈血管壁に沈着して動脈硬化(血管壁の肥厚、硬化)を促進させる。
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