臨床では「効く」という言葉がよく使われますが、再発した場合には、医療者と患者さんの間で、その認識の違いが目立ちます。

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医師と患者さんの認識の差「効く」

再発した場合、効くの意味することは、治ることではなく、数ヶ月〜数年延命するということです。

 

人は健康なときには、人生の時間は有限であるということを忘れがちです。

 

時間は常に前方へ流れるものと錯覚しています。

 

がんを患ったことは、不幸な出来事ではありますが、残された時間は限られていると認識できたとき、死は先にあるものではなく、今ここにあるものだと認識できたときに、初めて安らかな生が得られ、残された時間の一瞬一瞬を大切に考えることができます。

がんからの開放は根治

原発巣に対する手術や放射線治療、あるいは手術前後に行なう微小転移の根絶を目標とした抗がん剤、ホルモン剤、分子標的薬などによる全身補助治療などの初回治療の多くは、根治を目指したものです。

 

これに対し、転移・再発したがんの治療目的は、生活の質を保ちながら、がんと共存することです。

 

転移・再発がんでも、大腸がんの肝臓や肺への転移などは手術によって、再度根治が得られることもあるものの、これらは例外的といえます。

 

がんが進行すると、さまざまな症状(合併症)を起こします。

 

がんの病態を止めるのではなく、症状を緩和する目的で、治療が施されることがあります。

 

例えば、膵臓がんで十二指腸が狭くなって食事ができなくなったときに、十二指腸を迂回して胃と腸をつなぐバイパス手術を行うことを「姑息的治療」の例です。

 

遠隔再発したがんに手術や放射線治療を行なわない

がんの種類によって再発の仕方も多様で、治療に対する反応、効果の現われ方も異なります。

 

一般的に遠隔(全身)再発に対して、局所療法である手術や放射線治療が行われることはありません。

 

転移した複数のがんを切除しても、その他に将来的には増殖する微小転移を伴なっていることが多いので、結果的に再発するからです。

 

一方で、治療ではなく、生活の質を上げる目的で、消化管のバイパス手術や痛みを抑えるために、神経を切除するなどの姑息的治療が行われることもあります。

 

同様の理由で、局所療法である、放射線治療が遠隔(全身)再発に対して用いられることは、ほとんどありません。

 

一方で、骨転移による、痛みに対しては、放射線治療が著しい効果を示すことがあります。

 

遠隔(全身)再発した場合、延命を目的として行なわれる、治療のほとんどは抗がん剤治療です。

 

ホルモン剤や分子標的薬が用いられることもあります。

 

がんの種類によって、再発や進行の仕方、治療に対する反応が異なります。

 

一方で、がんの転移先の臓器、脳、肝臓、肺、骨、腹膜。

 

胸膜などによっては、共通の治療法が用いられることもあります。

 

がんの種類に関わらず、がんの進行によって生じる合併症に対しては、最適な対症療法を行なう必要があります。

 

痛みに関しては、上手くコントロールができると、延命に結びつくという報告もあります。

 

がん患者さんの多くは、死そのものへの恐怖よりも、がんによる痛みを怖れるともありますが、がん患者さんの約40%は実際には、最後まで痛みがなく、痛みを生じた場合でも、その90%以上はコントロールできるので、がんによる痛みを怖れることはありません。

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